外科的歯内療法
46歳 男性 - 上顎左側中切歯
1. 術前
2. 切断面精査時:舌側方向にイスムス状または側枝様の未処置領域を認める。
3. 術直後:逆形成およびMTA逆充填
解説:本症例は陶材焼付鋳造冠の装着から3年と間もなく、患者の強い希望により歯内療法外科処置のみを行っている。 根管処置の状態、歯冠修復の質や除去の必要性とリスク等を総合的に考慮しなければならない。 できれば根管再治療にて治療したい症例でもある。
49歳 女性 - 上顎左側第一小臼歯
1. 術前:根尖孔外に異物も確認できる。
2. 歯根端切除術直後
3. 術後11ヶ月、病変の顕著な縮小が見られる。
解説:以前に他院で3回根管治療を行うも症状が改善しなかったとのこと。 根尖部の過剰な器具操作によって根尖部は破壊されていた為に緊密な根管充填ができなかったのであろう。 歯内療法外科のみのアプローチでも良いかもしれないが、患者の希望により根管治療後に歯内療法外科を行った。 MTAでの根管充填後に逆根管充填もMTAで行っている。
52歳 女性 - 下顎左側第一大臼歯
1. 術前
2. 再根管治療完了後
3. 歯根端切除術中
3. 歯根端切除術直後
3. 術後6ヶ月、初診時症状は消失し透過像の縮小も認められる。
解説:「2~3年前に治療した歯が1年前から歯茎を押すと強く痛む」が主訴である。頬側歯肉の腫脹も認められた。 再根管治療によっても初診時症状は消失しなかったため歯根端切除を行った。 再根管治療の成功率を術前に説明しておくことは重要である。 本症例はBCパテにて逆充填を行っている。
53歳 男性 - 上顎左側第二大臼歯 意図的再植術
1. 術前
2. 根管充填直後
3. 術中:切断面の状況
4. 術中:逆形成およびBC逆充填
5. 意図的再植術直後
6. 術後:経過3ヶ月
解説:術前症状である腫脹が根管治療によっても消失しなかった症例である。 解剖学的制限や顕微鏡下で口腔内処置が不可能な場合の歯根端切除術には意図的再植術を応用する。 切断面の状況を観察すると根管経由での処置の限界を伺い知ることができる。 生体親和性の高い材料(本症例ではバイオセラミックス材料)を用いることで、より良好な経過を得ることができた。
53歳 女性 - 下顎右側第二大臼歯 意図的再植術
1. 術前
2. 再治療完了時
3. 意図的再植術中(歯根尖外表面)
4. 歯根端切除術
5. 意図的再植術直後
6. 術後:経過12ヶ月
解説:歯肉膿瘍形成により根管再治療を行ったものの症状改善が見られなかった。 顕微鏡の視野が到達しない第二大臼歯部の歯根端切除術は意図的再植術を応用する。 抜去歯を観察すると根管治療では対応できない歯根外表面に沈着した感染源を認めることができた。 逆充填にはバイオセラミック材料を使用した。 術後一年経過では良好に機能している。